病気・症状 事典
3.産科・婦人科(産婦人科)で扱う病気と症状
絨毛がん(じゅうもうがん)
関連する病気・症状:胞状奇胎



絨毛がん(じゅうもうがん)とはどのような病気のことでしょうか?


女性が妊娠すると、子宮の中に胎児と母体との間で、酸素や栄養を受渡するための胎盤という器官ができます。絨毛は、胎盤を形成する組織です。この絨毛細胞から発生するがんのことを絨毛がんと言います。
絨毛がんは、妊娠の後に発生するがんの妊娠性絨毛がんと、妊娠に関係なく発生するがんの非妊娠性毛がんに分けられ、ほとんどの場合が妊娠性絨毛がんです。
また、絨毛がんは、子宮内に発生しますが、病巣血行性転移(がん細胞が血流にのって転移する)を起しやすく、肺、膣、肝臓、脳等、他臓器に転移することがあります。
絨毛性の疾患には、絨毛がんの他、胞状奇胎(ほうじょうきたい)があります。胞状奇胎はぶどう子とも呼ばれ、異常分娩の一つです。


何が原因で絨毛がんになるのでしょうか?


はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、ほとんどの場合、妊娠をきっかけに発生します。また、妊娠性絨毛がんのうち、約50%が胞状奇胎(ほうじょうきたい)の後に、約25%が正常な分娩の後に、残りの約25%が自然流産や人工妊娠中絶、子宮外妊娠の後に発生するとされています。



絨毛がんはどんな症状が出てくるのですか?


主な症状は、不正性器出血や下腹部痛が見られます。妊娠悪阻(にんしんおそ=つわり)の様な症状が表れることもあります。
また、絨毛がんは、病巣血行性転移が起こりやすく、とりわけ肺に転移することが多く、その場合、咳(せき)や血痰、呼吸困難がおきることもあります。



先生! 検査や治療はどのように行われるのですか。


(1)検査は、まず問診によって症状を伺います。次に、血液検査を行い、血液中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hOG)というホルモン値を測定します。また、進行状態を調べる為、超音波検査、CT検査、MRI検査を行うこともあります。検査による痛みはありません。
(2)治療は、がんの大きさや拡散状態、年齢、全身の状態によって決めていきます。抗がん剤を用いた化学療法と外科手術(子宮摘出)が主な治療法ですが、絨毛がんには、化学療法が有効なため、化学療法が中心となります。
症状と病態にあわせた専門医師による適切な治療を早めに受けて下さい。決して怖がることはありません。
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