病気・症状 事典
3.産科・婦人科(産婦人科)で扱う病気と症状
胞状奇胎(ほうじょうきたい)
関連する病気・症状:絨毛がん



胞状奇胎(ほうじょうきたい)とはどのような病気のことでしょうか?


女性が妊娠すると、受精卵は子宮内膜に着床し、胎児となる「胎芽(たいが)」と、胎盤を形成する「絨毛(じゅうもう)」という組織に分かれます。胎盤は、胎児と母体との間で、酸素や栄養を受渡するための器官です。この胎盤を形成する組織の絨毛(じゅうもう)が、異常増殖を起し、子宮内部を占領してしまうことを胞状奇胎(ほうじょうきたい)といいます。異常繁殖した絨毛組織が水泡状になり、ぶどうの房のように見えることから「ぶどう子」とも呼ばれます。
胞状奇胎は、子宮内部全体に胞状奇胎が存在する「全胞状奇胎」、子宮の一部にだけ胞状奇胎が存在する「部分胞状奇胎」に分けられます。


何が原因で胞状奇胎になるのでしょうか?


主な原因は、@妊娠の際、1つの卵子が2つの精子を受精してしまうことや、A受精時に卵子の核が働かずに、精子の核だけが分裂増殖してしまうといったことが考えられます。



胞状奇胎はどんな症状が出てくるのですか?


一般的には、受胎後、つわりの強い症状(吐き気、嘔吐)が現れ、不正性器出血や腹痛が見られることもあります。



先生! 検査や治療はどのように行われるのですか。


(1)検査は、まず問診によって症状を伺います。次に、超音波検査によって、正常妊娠か胞状奇胎なのかを判断します。さらに、血液検査によって、血液中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hOG)というホルモン値を測定します。さらに、胞状奇胎が発見された場合は、絨毛がんとなって他臓器に転移していないことを確認するため胸部等のX線検査を行うこともあります。検査による痛みはありません。
(2)治療は、奇胎が拡がっていない場合、自然治癒することもありますが、一般的には、子宮内容除去手術によって、数回に分けて、子宮内の奇胎細胞を完全に除去します。また、状態によっては、まれに子宮全摘出手術を行うこともあります。奇胎を摘出した後、約半年から1年間は、避妊が必要になります。
症状と病態にあわせた専門医師による適切な治療を早めに受けて下さい。決して怖がることはありません。
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