病気・症状 事典
3.産科・婦人科(産婦人科)で扱う病気と症状
妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)
関連する病気・症状:−



妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)とはどのような病気のことでしょうか?


妊娠高血圧症候群(PIH=Prefnancy Induced Hypertension)は、2005年日本産科婦人科学会により名称変更される前は、「妊娠中毒症」と呼ばれていました。
妊娠高血圧症候群は、妊娠後期に高血圧と蛋白尿(たんぱくにょう)を起因とする疾患の総称で、「妊娠20週以降、分娩後12週めで高血圧が見られる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないものいう。」と定義されています。妊娠中毒症と呼ばれていた時には、高血圧、蛋白尿に加え、むくみ(浮腫=ふしゅ)も症状の一つでしたが、名称変更と供に、むくみ(浮腫)は項目から外されました。


何が原因で妊娠高血圧症候群になるのでしょうか?


はっきりとした原因はまだ分かっていませんが、母体が胎児を異物と認識し排除しようとするためや、胎盤の形成不全、子宮内圧の上昇などの妊娠に伴う様々な現象に順応できないため、症状が現れると考えられています。



妊娠高血圧症候群はどんな症状が出てくるのですか?


高血圧や尿蛋白は、身体の負担が大きく、母子ともに危険な状況になる場合があります。
症状は、体重増加、高血圧による頭痛、などがあります。さらに、悪化すると、子癇(しかん=異常な高血圧で、痙攣または意識喪失、視野障害など)を起すこともあります。
症状は、次の2つに分類されています。
1.軽症:収縮期血圧が140mmHg以上、160mmHg未満、または拡張期血圧が90mmHg以上、110mmHg未満。蛋白尿が300mg/日以上、2g/日未満。
2.重症:血圧: 収縮期血圧が160mmHg以上、または拡張期血圧 110mmHg以上。蛋白尿が2g/日以上。随時尿を用いた試験紙法では複数回の新鮮尿検体で連続して3+以上(300mg/dl)の陽性。
さらに、発症時期によって、妊娠32週未満に発症する早発型(EO=Early Onset Type)と、妊娠32週以後に発症する遅発型(LO=Late Onset Type)に分類されています。



先生! 検査や治療はどのように行われるのですか。


(1)検査は、まず問診によって症状を伺います。次に、血圧や尿検査を行います。検査による痛みはありません。
(2)主な治療法は、絶対安静と食事療法になります。食事療法では、塩分やカロリー、タンパクの管理をします。さらに、症状が重い場合、血圧を下げるために、漢方薬、点滴治療などの薬物療法を行うこともあります。根本的な治療は、出産後に行います。
また、母体もしくは胎児に重篤な症状が現れた場合、帝王切開や妊娠を終了させることもあります。
症状と病態にあわせた専門医師による適切な治療を早めに受けて下さい。決して怖がることはありません。
なお、不安や疑問のある方は、診療時間内に下記まで、お電話でお気軽にご相談下さい。